【空想旅行案内人】ジャン=ミッシェル・フォロン ━無題の絵が語りかけてくる

ミュージアム

こんにちは〜!こんばんは〜!まるっぴです!

今回は、

空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン展
日時:4月5日(土)~6月22日(日)
場所:あべのハルカス美術館

に足を運びましたので、レビューしていきたいと思います。

こちらも、モネ同様に閉幕寸前…。もっと情報を早出しできたら良かったのに…申し訳ありません。

フォロンという名前は知っていたものの、作品にじっくり触れるのは今回がはじめて。

フォロン展自体はなんと30年ぶりだとのこと!これは絶対に行っとかないと!と訪れたのでした。

会場に一歩入った瞬間、やわらかな色彩と静かな空気に包まれて、まるで知らない国に迷い込んだような感覚になりました。

● 優しい色と、軽やかな線

フォロンの作品は、水彩のにじみを活かした淡い色づかいが特徴的で、どの絵からも穏やかな気配が漂っています。

どこか夢の中の風景のようで、見ているだけで心がほどけていくような、そんなやさしさがありました。

そして印象的だったのが、帽子をかぶったコート姿の人物──私の中では「ハットまん」と名付けたくなる小さな存在です。

表情は描かれていないのに、なぜだか感情がにじみ出ているようで、不思議と目が離せませんでした。


● 顔のない人々が語りかけてくる

フォロンの人物画には、ほとんど顔がありません。

けれど、そこには確かに「表情」がありました。

立ち止まって空を見上げる後ろ姿。

人混みにまぎれながら、静かに佇む姿。

誰かを待っているような、あるいは迷っているような…。

見る人の心にそっと寄り添ってくるような、静かなメッセージが込められているように感じました。


● 「無題」という自由

ほとんどの作品にはタイトルがついていませんでした。

これは驚きでもあり、同時にとても自由なことでもありました。

たとえば、空に浮かぶ小さな家。

矢印が飛び交う都市のなかに立つひとりの人影。

それぞれに強いテーマ性を感じながらも、見る人に委ねる余白がある。

私は心の中で、そっとタイトルをつけながら鑑賞していました。

「誰かを待つ午後」

「行き先のない矢印たち」

そんなふうに、小さな対話をしながら。


● 耳で聴く、ということ

展示の最後にあった、フォロンのこんな言葉がとても印象に残っています。

「絵は、目で見るだけじゃなく、耳で聴くものなんだよ。」

この言葉を読んだ瞬間、胸に静かに沁みてきました。

そういえば、彼の絵を見ているとき、風の音や街のざわめきのような“気配”を感じていた気がします。

絵に耳を澄ます──そんな体験は、私にとって初めてでした。


● 日常のなかに、フォロンの風景を

美術館を出たあと、何気ない道すがらの景色が、少し違って見えました。

光の加減、建物の影、風に揺れる草木の音。

どれもが絵の中から抜け出してきたようで、なんだか少しだけ世界が優しくなったように思えました。

フォロンの作品には、大きな声では語られない静けさや余韻があります。

その空気は、日常のなかでもふとした瞬間に思い出されるような、そんな穏やかで、確かな記憶となって残りました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました