【パウル・クレー展 】-創造をめぐる星座-レビュー(色彩と線に込められた祈りと音楽の世界)

ミュージアム

こんにちは〜!こんばんは〜!まるっピです!

ようやく行ってまいりました!パウル・クレーの世界。いつもギリギリ…

【パウル・クレー展ー創造をめぐる星座ー】

日時:2025.03.29(土) 〜 05.25(日)

場所:兵庫県立美術館

色彩と線の魔術師と呼ばれたパウル・クレーの世界。絵に音楽を感じた、そんな不思議な時間をお届けします。

パウル・クレーとは?

スイスのベルン近郊で生まれ育ったパウル・クレー。しかし、父親がドイツ人であることから、国籍はドイツになります。

父も母も音楽教師という音楽一家で育ち、自身も11歳でベルン市立管弦楽団の非常勤団員という、腕前はプロ級のバイオリニストでもあります。すごい!

絵と音楽、どちらも愛した少年時代。学校は嫌い!芸術が好き!そんな少年だったそうです。

最終的には絵の道を選び、18歳でドイツのミュンヘンへ。
画塾でデッサンや銅版画技法を学んだのち、1900年、彼が20歳の時にミュンヘン美術アカデミーに入学しました。

しかし、せっかく入学した美術アカデミーだったんですが、「思ってたんとちゃう!」とスイスに帰国。

帰国後は、バイオリン奏者として生計を立てながら、細々と絵を描いて暮らしていたんだそうです。絵は無理だからヴァイオリン、というのが、なんだかすごいですよね。あまりにも世界が違う。汗

絵の世界に向けて再出発

1906年、銅版画集「インベンション」というミュンヘン分離派展で銅版画を出品します。これをきっかけに、またドイツのミュンヘンで暮らし始めます。

当時の作品は白黒で、どこかシュルレアリスム的な作風で、今のクレー作品とはかなり違います。
今回の展示会で、この頃の作品を多数見ることができました。色彩とは程遠い、白黒の作品たち。
彼の本質を垣間見たような感覚。彼はきっと、内向的で思慮深い人だったんだろうな、静かに自分を見つめ続けるような世界観が広がっていました。

ちょっと小話:パウルクレーは元祖「イクメン主夫」
ドイツのミュンヘンに渡ると同時期に結婚した奥様はピアノの先生で奥様が生計を立てる中、結婚して1年後に生まれた息子の子育てを担当。その頃の毎日つけていた育児日記が残っています。

「青騎士」そして色彩との出会い

育児に励む日々の中、美術アカデミーで一緒だったカンディンスキーと再会し「青騎士」という芸術運動に参加します。これをきっかけに、ようやくクレーのアートが大きく動き出します。

「青騎士」の活動の中で、フランスの画家ロベール・ドローネーの作品に魅了されます。

その頃のドローネーはキュビズムの画家だったことにより、クレーもキュビズムに影響を受けます。

そして1914年、画家仲間と訪れたチュニジア旅行で色彩に目覚めます。
「色彩は私を永遠に捉えた」この頃を振り返ってクレーが残した言葉です。まさにクレー芸術の転機。あの独特な作風が誕生します。

初期の暗い作風から、一気に色彩が溢れる作風に変わり、私たちの知っているクレーらしさが確立していきます。

クレーとキュビスムの距離感

展覧会に出ている《森の神》は、キュビスムをちょっと茶化したような作品として注目されています。ピカソたちが大事にした奥行きのある空間表現ではなく、クレーはあえて平面的にして、シンボルみたいな形でシンプルに描いているのが特徴です。

構図の中にある「バツ印」は、一見キュビスムっぽいけど、よく見ると意味が曖昧で、むしろ遊び心や詩的な雰囲気を感じさせます。クレーはキュビスムのルールを一度バラして、自分なりの新しい表現に作り替えているんですね。

教師としてのクレー「バウハウス時代」音楽を描く

第一次世界大戦を経て、ドイツのワイマールに設立された芸術学校「バウハウス」の教師として働き出します。ここで絵だけで初めて安定した生活を得ることになります。

このバウハウスでカンディンスキーと再会して、お互いを高め合って教師業に打ち込みます。

クレーは音楽のリズムや構成を、色と形で表現しようとしました。

《蛾の踊り》《赤、黄、青、白、黒の長方形によるハーモニー》《北方のフローラのハーモニー》など、音の重なりや響き、リズムを絵にしようとした作品が多数残っています。

クレーの芸術において、「音楽」は常に重要なモチーフでした。

リズム・構成・調性といった音楽的概念が、色と線の配列として視覚化されています。バウハウスでの講義ノートには、音符や指揮法を美術的に再構成する試みまで記されており、まさに音と線の融合を追求していたことがうかがえます。

病とともに歩んだ晩年。死と祈りがにじむ作品

晩年のパウル・クレーは皮膚硬化症を発症し、5年間もの間苦しみながらも制作を続けました。その時期の作品には「死」を思わせるものが多く、病の影響で表現も次第に簡素化されていきます。

「忘れっぽい天使」

※こちらはグッツ販売のブースに飾られたポスターです。実物の展示はありませんでしたが、私はこの絵が大好きなので、レプリカでも見れて嬉しかったです。

白い画用紙に、黒い線だけで描かれた作品が目立ち始めるのもこのころです。

《忘れっぽい天使》には、なんともいえない表情をした天使がうつむいています。泣いているようでもあり、微笑んでいるようでもあり…。その姿からは、どこか祈りにも似た静けさが感じられました。

クレー芸術の魅力

どんなに作風がちがっても「これ、クレーの絵だ」とわかる。

抽象でも具象でも、目には見えないものを描くというユーモアと、描き続ける真面目さ。そんな世界観がクレーの魅力だと思います。

「絵画とは、すでにあるものを描くものではない」
「無から有の過程が創造である」という彼の言葉通り、クレーの作品には”何かが生まれる瞬間”が描かれているように感じました。

グッズ

今回も楽しみにしておりましたグッズたち!

ジャ〜ン!

今回のグッズはとにかく種類が豊富!定番のポストカードにクリアファイル、メモ帳、ペン、マグネット、Tシャツ、アクリルチャーム、アクセサリーなどなど、見ているだけで楽しくなるラインナップです。

ポスターもたくさんあって、どれを買おうか迷いすぎて、かなりの時間を費やしてしまいました。

クレー展とコラボした「パパブブレ」のキャンディーをお友達のお土産にと購入。きっと喜んでもらえること間違いなしです!

おわりに

【パウル・クレー展―創造をめぐる星座―】は、色彩の美しさにとどまらず、クレーの内面の深さ、時代背景、芸術哲学を体感できる貴重な展覧会でした。

一見パステルカラーのパッチワークのような可愛らしく思える作品でも、色彩・線・音楽…さまざまな視点から緻密に計算されて作られた作品だと知り、発見と驚きの連続の展示会でした。

彼の作品を通して、目に見えないものを感じ取ろうとする心の旅が始まります。芸術に詳しくなくても、その不思議な世界観にきっと惹かれるはず。

ぜひ、あなた自身の感性でクレーの星座を巡ってみてください。

この記事が、誰かの「芸術に触れてみたい」というきっかけになったら嬉しいです。

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